2021年6月撮影

亡くなる前日に撮った父の左手。

今年に入って高校時代の親友が子供の卒園を待てずに旅立ち、小中学校時代の同級生が子供の小学校卒業直前に突然の病で旅立った今年、余命宣告を受けて覚悟をしていた父も旅立った。

治療を行ったとしても年齢と体力的に見込みが無く、コロナ禍のため入院をすると家族の誰とも会えないまま別れる事になるからと、最後まで自宅で過ごすと決めた。

年度末までは受け持っている仕事を優先しつつ、母主体の介護では二人とも持たない感じがしてきたので新年度から受け持ちの仕事量をコントロールしつつ、フル在宅ワーク出来る環境を自宅と会社双方で整えた。

これには本当に会社と同僚に迷惑をかけたと思うので、それが出来る職場に感謝したい。

病気による痛みは少なかった様子だが、呼吸に必要な力まで弱まって十分な睡眠がとれない状態になり始めてから、1階で一緒にいる母から深夜に呼ばれ状態が落ち着くまで数時間過ごす事が何度もありあった。

体験して「最後を家で看取る」のは一人では絶対に無理だと思う。
父も母も自分も弱音は言わなかったが、家族全員が無理しているとお互いに感じていた。

それでも、最後まで家族の希望通り終わる事が出来たのは幸せなんだと思う。

前日の夕方に姉たちも含めて家族全員が揃って雑談し「おやすみ」と言ってみんな別れられた。

その深夜に呼吸が苦しくなって危なくなったが、早朝に訪問看護の方に来ていただいてケアしてもらった結果、ゆっくりと眠れてそのまま昏睡状態になってくれた。

そして午前中にまた家族全員が集まり、全員同じ部屋で昼食を食べている時、静かに息が止まっていた。

頑張って待っていてくれたんだんだけど、父としては最後の瞬間は気恥ずかしくてコッソリと行きたかったんだと感じた。


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何度も「近いかな」と感じた事があったが、弱っていく父を写真に撮ると心が折れそうな気がして一切撮らなかったんだけど、この写真を撮った日は「撮らないと」と感じた。

それでもZ6やZ50などをしっかりと構えて撮るのは出来なかった。
ファインダーを通して見たくないし、しっかりと一緒の時間を過ごしたかったので選択したのはGR。

毎日ポケットに入れていたGRは見なくても片手で全ての操作が出来るし、何も見なくても右手の感覚だけで構図をイメージして撮れる。

最強のSnap Shooter のコンセプトは唯一無二なんだと本当に感じるカメラだ。

GR
メーカー:リコー
発売:2013年5月
センサー:APS-Cサイズ CMOS/ローパスフィルターレス
画素数:1620万画素
ISO感度:100~25600
焦点距離:28mm(35mm換算)
開放F値:2.8~16
最短撮影距離:30cm(マクロ10cm)
オートフォーカス:あり
手ぶれ補正:なし
質量:約245g


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